一般的に、ウイルスの消毒(不活性化)にエタノールを使用する場合、濃度は70%~80%が適していると言われているようです。
消毒効果だけでいえば、エタノールの濃度はもっと高くても良いのですが、濃度の高いエタノールはすぐに揮発してしまうため、扱いが難しくなります。
また、例えばノロウイルス等については次亜塩素酸ナトリウムが有効であるように、高濃度エタノールであれば何でも消毒できるというわけではありません。
そして新型コロナウイルスについては、研究途上であることもあってか、エタノールの濃度は一般的な水準の70%~80%が適していると言われています。
コロナウイルスは熱(70度以上で一定時間)及びアルコール(70%以上、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります)に弱いことがわかっています。
これに該当する製品は極めて品薄な状態となり、レアアイテム化してしまいました。
ところが4月中旬に、新型コロナウイルスに関してはもっと低い濃度のエタノールでも不活性化できる、という研究結果が発表されていたことがわかりました。
市販製品を対象に、新型コロナウイルス不活化効果を有する可能性について、試験管内でのウイルス不活化評価を実施したのでその結果を報告する。
(中略)
本研究結果の公開に異議を唱えないことを前提として国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品を使用した。
(中略)
製品のパッケージ裏面に書かれている使い方を参考にし、希釈が必要な場合には水道水を用いた。
(中略)
エタノールは、50%以上の濃度であれば、接触時間1分間で十分なウイルス不活性化が可能だと考えられた。
エタノールの濃度が50%以上あれば新型コロナウイルスを不活性化させる効果を期待できる、という実験評価は朗報です。
しかも実験に用いた製品が、スーパーやコンビニに流通している日用品であることが、とても重要ですね。専用の消毒薬を使わずとも、日々の手洗いや、掃除、洗濯、食器洗いなどが、ウイルス対策になると言えます。
また、企業の同意を得られた製品に限った実験なので、他にも消毒効果を期待できる製品があると思います。
新型コロナウイルスは、潜伏期間が長いため無自覚に感染を広げてしまう上、いざ発症すると高い毒性を示すこともある、非常に厄介かつ危険なウイルスですが、こと防御面に関しては、思いのほか脆いのかもしれません。